『第769話』 ドーピング

平成19年9月29日(土)~10月9日(火)に開催される「秋田わか杉国体本大会」と10月13日(土)~10月15日(月)「秋田わか杉大会(障害者スポーツ大会)」が目前に迫った。

秋田県体育協会に依頼し、国体参加選手の医薬品使用実態調査を実施している。これらを含め、2006年2月~2007年8月27日までに秋田県薬剤師会医薬品情報センターで調査・回答した医薬品品目は延べ415品目となった。

一番困るのは、やはり健康食品だ。ドーピング陽性になるか確認のため試験をしてもらいたいというものある。いわゆる健康食品を服用した場合、ドーピング陽性となり得るかという点については、日本において唯一WADA公認ドーピング検査機関となっている三菱化学メディエンスに分析の依頼をするしかない。日本体育協会でもドーピング検査費をどうやって捻出するか問題になるほど、試験検査には費用がかかる。こうした手間を省くために、JADAスポンサーシッププログラムによって使用可能な一般的な健康食品類が紹介されている。

これ以外の健康食品については、特に規定がなく、そしてまた、陽性判定が出ないとは言い切れない。従って、ロシアンルーレットではないが、自己判断によって使用の可否を決めることになる。健康食品とはいえ、外国製品では日本では違法とされている漢方成分等が含まれている事例もあり、本会医薬品情報センターでは、使用を推奨していない。

しかし逆に、ドーピング陽性になる医薬品であっても、標準もしくは略式申請TUE(Therapeutic Use Exemption)することによって、治療上必要な医薬品を使用することができる。代表的な医薬品にインスリン・β2作用薬・糖質コルチコイドなどがあり、過去の大会においてTUEを申請して競技に出場している秋田県選手がいる。

既に、冬季大会では10人の国体選手にドーピング検査が実施されており、全て陰性となっている。また、この情報は公開されており「国民体育大会ドーピング・コントロール検査結果:http://www.japan-sports.or.jp/doping/kokutai_kekka.html」で確認出来る。

OTC薬では、感冒剤に含まれるdl-メチルエフェドリンやマオウ製剤、滋養強壮に使用するロクジョウが問い合わせの中にあり、注意を喚起しておく必要がある。従って、ドリンク剤であっても滋養強壮目的で使用するものの中にはドーピング陽性になる医薬品があるので、注意が必要だ。

現在、使用可能医薬品を調べるためには「薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック」(日本薬剤師会ホームページからダウンロードが可能:http://www.nichiyaku.or.jp/)使用不可の医薬品や投与方法を調べるためには「JPNドーピング・データベース:日本体育協会監修」が便利だ。

ドーピング相談は、開催県が担当することになっていて、他県からの問い合わせもあり、本会医薬品情報センターは天手古舞といった状況だ。

是非、ドーピング陽性者を出さない「秋田わか杉国体本大会」「秋田わか杉大会(障害者スポーツ大会)」になるよう全国の薬剤師が取り組んでいるところだ。