百薬一話

『第217話』 飲酒前の牛乳、1本でも効果

1995-11-05   

 飲み過ぎや食べ過ぎになりそうなとき、飲む前に飲む胃腸薬が売り出されている。好き好んで暴飲暴食をする人もいないだろうが酒の席ではついつい断れずに許容量を超えてしまうことが多い。
 一度にビール5本くらい飲める人でもビール瓶5本分の水を飲むことはなかなかできない。それは、食物や水は胃で吸収されずに腸に送られてはじめて吸収されるのに対し、アルコールは胃に入ったとたん、少しずつだがどんどん吸収されていくからだ。水は胃袋がいっぱいになったらもう飲めないが、アルコールは水の何倍も飲めることになる。
 飲んだら食べる、が酒飲みの鉄則だが、飲む前の牛乳1本でも効果はある。牛乳で胃の粘膜に皮膜を作っておくとアルコールは胃でいきなり吸収されずに小腸に回ってからゆっくりと吸収される。飲む前に服用する胃腸薬も基本はこれと同じで粘膜保護剤が中心だ。そのほかに健胃生薬や制酸剤が入って消化を助ける。
 また酒の席では脂っこい食べ物が多く出るが、脂肪の多い食べ物を消化するには胆汁が必要だ。胆汁は1日500〜1200ミリリットルほどが肝臓で作られ、胆嚢(たんのう)で約8倍に濃縮されてから脂肪の消化吸収に使われる。飲み過ぎ食べ過ぎの後、右わき腹からその背部が重く痛む時は胆汁の分泌不足や胆嚢の運動異常が疑われる。
 ところでがっくり盲腸という言葉がある。盲腸とは虫垂のことだが、この部分が炎症を起こして膿(う)んだりするのが虫垂炎だ。虫垂炎の本当の原因は分かっていないが大きなスポーツ大会の後や過労、暴飲暴食の後にあちこちから患者が現れるという。どっと疲れた後にがっくりして盲腸になるのでこの名があるが、何事もほどほどにとどめると大事に至らない。


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