百薬一話

『第3話』 水虫の季節到来、清潔に湿気避け

1991-06-16   

 病気にも季節感がある。春は花粉症と闘い、何とか五月病を乗り越えたと思ったら、じとじと梅雨とともにやって来るのが水虫だ。食べ物にカビが生えやすくなるように、人間の足にも生えやすくなるのだろうか。
 水虫の原因がカビ、酵母、キノコなどと同じ真菌の仲間であることはよく知られている。水虫は足目癬(はくせん)とか、手白癬といわれる、真菌の感染で起こる皮膚病の俗称。主に、足の裏や、足の指の間にできる。カビは本来、好気性細菌で酸素がある条件でよく育つ。しかしカンジダと呼ばれる真菌類は、酸素がなく低温状態といった環境でも、酵母状になって増殖できるため、容易に皮膚や内臓で感染症を引き起こしてしまう。
 水虫のように、皮膚の表面や皮下にできるものは、内臓にできるものに比べれば比較的軽症だ。しかし完治できる薬はいまだになく、菌の発育を阻止するのが精いっぱいである。また、レーザーを照射して患部を瞬時に65度以上にする温熱療法もあるが、一部の医療機関でしか行われていない。
 水虫の治療で大事なことは、患部をいつも清潔にし、乾燥させてから、刺激のない薬を気長に、しかも十分に塗ること。硫黄を含んだせっけんは殺菌効果もあり、硬くなった皮膚を溶かしてくれる。患部が湿っている場合には、ほう酸亜鉛華軟こうなどで乾燥させ、その後で薬を塗る。一般に乾いた水虫には液体タイプ湿ったものには軟こうやクリームといった使い分けがある。しかし、外用の副腎(ふくじん)皮質ホルモンのようなステロイド剤によっては、かえって白癬が増えたり、民間療法で悪化する場合もあるので独自の治療は避けたい。
 日本人の1割がかかっているという水虫。今や男性ばかりが好まれるわけではない。夏でもパンティーストッキングやハイヒールを履く習慣ができてから、女性も結構この水虫に好まれているようだ。


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