『第7話』 薬の飲みすぎが味覚障害を加速

食事の簡素化や加工食品の取りすぎなどから、亜鉛の欠乏をきたし、味覚障害を起こす事は前回述べた。

加工食品にはポリリン酸など、亜鉛の働きを妨げてしまう添加物が入っている。

味覚障害は薬を飲んでいても起こることがある。その可能性のある薬剤は、チアジド系の利尿剤、メチルドパなどの降圧剤、クロフィブレートという抗動脈硬化剤、レバドパなどの抗パーキンソン剤、フェニトインなどの抗てんかん剤、そしてトランキライザーや、解熱鎮痛薬のアスピリン、インドメタシン、メフェナム酸など多岐にわたっている。このような薬はその化学構造に原因がある。つまり構造上、亜鉛を取り込みやすい部分があって、そこでどんどん亜鉛を消費してしまうのだ。

味を感じる味蕾(みらい)の中の味覚細胞は、いわば使い捨ての細胞なので、絶えず壊れては新しい細胞と入れ替わる。その細胞を作るタンパク質合成に、亜鉛は必須なのだ。

また飲酒も大量の亜鉛を消費してしまう。アルコールを分解するための酵素も亜鉛が必要だからだ。そのため一気飲みや、連日飲み歩いたりすると突発性の味覚障害をおこす人もいる。

一般に味覚の感受性は年を取るとともに鈍くなる。特に男性は塩味がわからなくなる人が多いが、飲酒や喫煙との関連も指摘されている。

薬の発達で高齢化現象を支えている半面、薬の飲みすぎや長期にわたる服用で老人の味覚異常は加速されてしまう。

日ごろから、亜鉛の多い食事を心がける事で亜鉛欠乏症の予防はできる