『第25話』 薬材の活用には資源保護も大切

漢方薬への関心は高い。本場中国の現状について、先月秋田市で開かれた日本薬剤師会学術大会で一般市民向けに講演した侯家麟・中国薬学会甘粛省蘭州分会理事長の「蘭州市の漢方薬の概況」からお伝えしよう。

原始時代、人々は病気と闘うためにある種の植物や動物さらには鉱物の治療効果、毒性に注目し始めた。実際に服用。し、体験しながら豊富な薬物の知識を積み重ねてきた。

近年、薬膳(やくぜん)が盛んになっているが、この薬膳とはすなわち食事療法のこと。漢方薬を入れた食事で健康を維持したり、病気を治したりするものだ。

中国で使われている漢方薬は千種類余りだが、常用されているのは500種類ほど。甘粛省は漢方薬資源が豊富で、薬材の産出量は全国2位だったこともあるが、現在は6位ぐらい。

蘭州には120余りの薬局があり、調剤も行っている。常用される500種あまりの薬材は加工しなければ使えないので、漢方薬局では調剤のほかに加工も行う。いったり、あぶったり、多くの薬材は切ることも必要だ。こうした加工を加えて飲片と呼ばれる状態にしてから調剤する。

蘭州には384種の薬用植物がある。漢方薬材には成長のリズムがあり、取り過ぎると生態バランスを崩してしまう。使う、採る、残すの3つのバランスをうまくとらなければならない。葉の採取は何回かに分ける、茎を採取するときには根を残す、花や実は枝を残して採る。根は大きなものを掘り、小さなものは残す、有効成分は根以外の部分から抽出するようにするといったことに注意している。

植物の再生機能を利用して移植や繁殖を行い、あらゆる植物薬材、動物薬材を合理的に育て、資源が枯渇することなく、いつまでも人類のために働いてくれることが大事だ