『第198話』 わきが予防には消毒せっけんを

人間は全身で汗をかく。人間の皮膚には汗腺(せん)が230万個もあり、猛暑のときには1日で10リットル以上の汗をかくこともある。こうして水分を蒸発させ、体の表面から熱を逃がすことで過熱から身を守っている。

汗腺には二種類ある。水分と塩分を出す「エクリン腺」と脂肪や鉄分、蛍光物質、色素などを含む濃厚分泌液を出す「アポクリン腺」だ。しかしアポクリン腺は温度刺激に反応することがなく、実際体温調節にかかわっているのはエクリン腺の方だ。

人間の場合、エクリン腺は全身の皮膚にくまなく存在するが、アポクリン腺はわきの下や外耳道、乳首、外陰部だけに分布している。

逆に動物の場合、アポクリン腺は皮膚の至る所に存在し、エクリン腺はある場所が限られる。

例えば、犬や猫では手足の裏とわきの下だけだ。従って足の裏で汗をかいていることになるが、実際には緊張したときだけ汗をかく仕組みになっていて、この汗腺は温度調節の役目はもたない。運動の後や暑いとき、犬が舌をだらりと出し、ハアハアと息をしてよだれをだらだら出すのは汗代わりだ。

動物の場合、アポクリン腺は体臭を作り異性をひきつけるのに一役買っている。人間も思春期になるとアポクリン腺からの分泌物が多くなる。しかし出たばかりのときはにおいがない。

この分泌物が皮膚にいる細菌によって酢酸などに分解され始めるとしだいに不快なにおいに変わる。

わきがとも呼ばれるこのにおいを防ぐには汗をまめにふき取り、消毒薬の入ったせっけんでよく洗うことが大事だ。

また、腋毛(わきげ)は除毛する。殺菌作用のある20%塩化アルミニウムや5%ホルマリンアルコール液を塗るとにおいはかなり抑えられるが、かぶれる人もいるので注意が必要だ