『第203話』 地域的な格差が薬剤師不足生む
新聞を開くと大学の学生募集広告が目に付く。
しかし、大学に進学しても厳しい就職戦線が待ち構えている。今年も不況下の折、さらに狭き門となっているようだ。
薬剤師になるにはどうしたらいいか?という問い合わせを頂く。まず、薬科大学に進学し、卒業することが必要だ。卒業後毎年1回4月に行われる薬剤師国家試験に合格すれば薬剤師になる。
東北六県では仙台市に国立東北大学薬学部と私立東北薬科大学の二校しかない。毎年全国で約7,800人の薬剤師が誕生しているが、本県出身者は毎年40~50人と大変少ない。
1人の薬剤師が保険薬局で調剤できる処方箋(せん)枚数は1日平均で40枚までと法律で上限値が決められている。この法律は、これ以上の処方箋を受け付ければ、服薬指導や薬歴管理といった医療品の適正使用につながる患者サービスが行われないと厚生省が判断して制定され、ことし5月に施行された。
一方、処方箋の発行量は全国的に急激に伸びている。本県で発行された処方箋枚数は平成5年度の調査で415万枚。また、処方箋を受け取る人の割合も31,4%に達し、全国第2位だ。
現在、保険薬局に勤務する薬剤師数は約580人。単純に計算するとまだ余裕があるように思えるが、処方箋の発行枚数には地域的な格差があって処方箋を発行している広域病院がある地域で著しく高くなっている。これが薬剤師不足を生む一因となっている。
県薬剤師会としてはかかりつけ薬局の定着を図って、患者さんが医薬分業のメリットを十分に享受できる体制を整備するとともに、行政とも協力して薬剤師を育成することが急務となっている。
21世紀までには薬学部も教育年限を延長し、6年制になることがほぼ確実になってきた。県内の薬剤師の女子の構成比率54%、給与も高く、就職率100%。ぜひ薬学部への進学も検討してもらいたい