『第224話』 効きのスピード、錠剤の形で差異

錠剤をじっくり見たことのある人はおいでだろうか?錠剤の中でも糖衣錠と呼ばれるものは色や光沢が美しく、それに印刷されている文字も実に鮮明だ。糖衣錠はその名のとおり、砂糖の衣で薬を包んでいる。舌触りも滑らかだが、いつまでもなめていると苦い成分が出てくる。

薬の成分は苦いものが多く、またにおいが強いものなどもあってそのままでは飲みにくい。そこで原薬をほかの物資で覆ってしまうコーティングと呼ばれる方法がとられる。裸錠は何もコーティングをしていないので、なめてみるとざらざらしている。

糖衣錠の表面に印刷された数字や文字が鮮明なのは、印刷インキの乗りを良くする特殊なポリマーを砂糖がけの上に吹きつけているからだが、このポリマーの開発にも各メーカーのノウハウがある。そのためコスト的には糖衣錠の方が裸錠より7割ほど高くなる。

良い薬とは中の成分が優れていることはもちろんだが、その効力を100%発揮する剤型になっていることだ。

胃で溶けずに腸にいってから溶けるように設計された錠剤は腸溶剤と呼ばれる。胃で溶けると副作用の出やすいものや、胃液で分解されると効力がなくなるものなどにこの剤型は適する。腹溶錠はフィルム状(繊維素系の高分子剤)の膜でコーティングされているのでフィルムコート錠ということもある。

また成分が少しずつ溶けだすように設計された薬もある。このような薬は徐放錠と呼ばれ、効果が持続するので1日1回から2回の服用で済む。

このように錠剤にはそれぞれにそれなりの工夫と意味がある。大きくて飲みにくい錠剤などはつい、つぶして飲みたくなるが、飲む前につぶしてもよい薬かどうか医師や薬剤師に問い合わせてほしい