『第225話』 相次ぐ医薬品回収、薬事監視員が不足

昨年暮れにかげて不良医薬品の回収が相次いだ。12月だけで25件、このうち異物混入のために自主回収された医薬品が19件あった。

県内の病院86カ所中85カ所、保険薬局314カ所中281カ所にはファクシミリが設置されていて、患者さんが安心して薬を服用できるように必要な情報を伝達している。こうした医薬品の回収情報のほか、緊急安全性情報、厚生省副作用情報を随時伝達している。

これまで、医薬品自主回収の情報をファクシミリで一斉送信したことはなかった。昨年4月から当センターでは厚生省・県医務薬事課・日本薬剤師会中央薬事情報センターなどの公的機関から得た医薬品・医療器具の不良などの情報55件中44件について伝達したが、当初予想した年間8回の送信回数を大幅に上回り、本年度の予算はパンクした状態だ。

昨年7月施行された製造物責任法によって医薬品の履歴書に当たる添付文書の改訂が頻繁に行われるであろうという予想はあったが、水面下に隠れていた不良医薬品の回収情報がこれほど多く出てきたのは驚きだ。

業を煮やした厚生省は昨年暮れ、全国の薬務担当者に向けて徹底した薬事監視を行い、不良医薬品の発生を未然に防ぐよう通知を出した。しかし、この辺にも問題があって、医薬品や薬物に対して十分な認識と経験を持つよく教育された薬事監視員が少ないことが挙げられる。これはクラフト問題にみられる不適正な裏取引やサリン事件、大量の向精神薬密造を未然に防ぐことができなかったことでも明らかだ。

麻薬Gメンは小説やテレビドラマの中でも度々登場するが、県医務薬事課の中にはこれと同様の仕事をしている職員もいる。県民の平隠な生活や安全な医薬品提供に今後、薬事監視員の活躍がクローズアップされそうだ