『第230話』 クロレラによる健康被害の実態

医薬品は常に厳しい監視の目にさらされている。医療機関からの報告を求めた医薬品副作用モニター制度や主に一般用医薬品による健康被害の情報を収集する薬局モニター制度などがある。新薬についても、メーカーに市販後どのような副作用が出たか1万例以上の症例を報告する市販後調査が義務付けられている。

しかし、医薬品ではない健康食品などの食品に類するものによる健康被害の実態が明らかになることはほとんどない。これは、医薬品が厚生省の監視下にあるのと違い、社会的な規制がほとんどないためだ。

1月8日付で国民生活センターが健康食品「クロレラ」について消費者被害注意情報を出した。健康ブームの中で多くの健康食品が販売されているが、その中でもクロレラに関する苦情が25%を占めている。

クロレラだけで過去9年間に8,081件の苦情があった。このうち訪問販売、通信販売などによる契約・解約の苦情が約80%を占める。

安全・品質については、体調を崩したり、下痢をするといった身体的被害が発生したというのが724件ある。中には1カ月以上入院したケースが31件あった。

特に下痢をしたというものが多く、これはクロレラが緑藻(りょくそう)植物で消化されにくいことが原因と考えられる。

健康食品なのに血圧が下がるといった効能・効果をうたうことは口頭でも薬事法違反になる。

折り込みチラシにはよく「○○が治った」とか「××に効果的」などの体験談が載せてある。特定銘柄ではない一般的名称のクロレラの効果を体験談で強調して巧みに薬事法の網をくぐり抜け、特定銘柄のクロレラを売る例もある。効能・効果を客観的実証をもって説明できるのであれば、持ってまわったような体験談をだして説明はしないはずだ。

体質・持病の特性は人によって違う。医薬品との飲み合わせの問題などもあり安易に健康食品に頼ることは危険だ