『第234話』 海外で手に入る、医薬品に注意を

海外旅行に出掛ける機会が増え、その国の医薬品と出合う機会も増えた。

中国や台湾などで目にする難しい漢字で書かれたパッケージに、いかにも効果覿面(てきめん)といったイメージを持ってしまう。

海外で病気になり、大衆薬を購入することもある。イギリスの片田舎で下痢を起こし、薬局で下痢止めを買ったところ、日本ではスイツチOTC薬(医療用薬を大衆薬として認めた)として使われている塩酸ロペラミドが日本の医療用薬の2倍量も入っていて驚いたことがある。確かに効いたが、イギリスの薬剤師は症状や細菌性下痢の可能性があるか、どのくらいの期間下痢が続いているかなどを聞き、効果がなかったときにはすぐに医療機関にかかるように説明してくれた。

この下痢止めの薬を日本に持ち込むことができるだろうか?これは個人が使用するのが明らかであれば可能で、持ち込める量が決まっている。これをほかの人に渡せば薬事法違反になる。

外国では健康食品として流通しているものでも効能効果が英語などで明示してあれば、日本に持ち込む時には医療品扱いになる。

台湾名産の健康食品で百歩蛇風濕丸(ヒャッポダ神経丸)というのがある。最近この薬による健康被害が起こっていることが報告されている。

現地では健康食品として流通しているようだが、成分はインドメタシン、デキサメタゾン、イブプロフェン、カフェインが配合されていて、日本では医薬品の扱いになる。成分から神経痛、リュウマチに効果がありそうだが、長期連用すると消化性かいよう、胃腸出血などを起こして危険だ。

それを承知の上で服用するのであればよいが、中には成分の不明なものも多く、日本では絶対に使わない高濃度の水銀やヒ素を含むものもある。

口コミの情報に踊らされることなく、冷静に外国製の健康食品や医薬品を見る目を養う必要がある