『第298話』 積み木状の背骨、同じ姿勢は禁物
病院に行くほどでもないが、毎日腰に痛みを感じたり、違和感を持っている人は多い。
腰の痛みは原因が分からないことが多く、原因がはっきりしても手術を要するのは腰痛患者の1%にも満たない。
手術をしない場合、機械で腰を引っ張るけん引療法、ホットパックを腰に当てる温熱療法、消炎鎮痛剤や筋弛緩(しかん)剤による薬物療法などが長期間行われる。
背骨はたくさんの小さな骨(椎骨=ついこつ)と椎間板からできていて、それらが積み木のように積み上げられ、1本の柱となって上半身を支えている。
しかし、背骨だけでは人は立つことはできない。背中や腹など、背骨の周りを複雑に取り囲んでいるこれらの筋肉が背骨を支える助けをしている。
立った状態で背骨を真横から見ると、ゆるやかなS字曲線を描いており、これが背骨のもっとも自然な状態と言われる。
この状態のとき、背骨は周辺の神経に接触することがなく、腰痛は起こりにくい。つまり、背骨を伸ばして立っている状態が腰にはよいことになる。
座るという動作は背骨に負担をかけ、背骨が変形する原因になりやすいが、体に合ったいすを選んだり、頻繁に体を動かすことで腰痛を防止できる。長時間同じ姿勢で座ることは同じ筋肉を緊張させ、その周辺の神経を圧迫するからだ。
職場のいすもほとんど同じ大きさで個人個人の体格に合わせたものではないことも腰痛の原因だ。机との高さを調節することはもちろん、薄い布団をくるくる巻いて腰の当たる部分に入れるなど、楽な姿勢が取れるような工夫が必要だ。