『第300話』 利用多い大衆薬、薬剤師の助言を

21世紀に向かって、自分の健康は自分で守るといった自覚と認識が国民に求められている。

軽い病気に対しては自分で手軽に治療できるよう、医療用に限って使われていた医薬品が大衆薬として薬局でも買えるようになっている。

病院に行かなければもらえなかった薬が薬局で手に入ることは、治療効果が高いうえに時間的節約にもなり、大いに利用されると期待されている。

医療用から一般用薬品に切り替えられた薬の中で最も多いのは水虫の薬だ。次いで非ステロイド系の外皮用剤で、肩や腰、筋肉の痛み、打撲やねんざの消炎鎮痛に使用される。

胃腸薬、咳(せき)止めなどがこれに続く。咳止めも乾いた咳とたんがからんだような湿った咳では薬がまったく違ってくる。

水虫の薬にも液体、軟膏(なんこう)、ジェル、クリームタイプがあり、症状により使い分けが必要だ。

下痢止めの塩酸ロペラミドという成分が入った薬も、医療用医薬品から大衆薬に切り替えられたものだ。腸の蠕動(ぜんどう)運動を抑制し、腸内の水分量を整えてぴたりと下痢を止める。しかし、一口に下痢といってもその原因にはいろいろあり、細菌性の下痢には使えない。また2日ほど使用しても効果が現れない場合は中止したほうがよい。

このように薬の効果を十分に得るには、消費者がある程度、病気の状況を把握し、薬剤師の説明に従って薬を使用する必要がある。

日ごろから、かかりつけの医師や薬剤師の助言を得て、体に異常が出たり、けがをした際、医師の診察を受けるべきか、薬だけでよいのか、そのまま放置してもよいのかなどが正しく判断できる知識を持つことが必要だ