『第316話』 自分の薬の名前、しっかり覚えて

ゲット・ジ・アンサーズ(1)

17日から23日までの1週間は「薬と健康の週間」です。

最近は薬をめぐって、副作用だけではなく、経済的問題や適正に使用するための手段などさまざまな問題が提起されています。

薬を服用していて何となく不安だが、何から質問してよいのか分からない。そういう人は多いのではないでしょうか。

県薬剤師会では「ゲット・ジ・アンサーズ」を合言葉に「薬のことに答えてもらおう」というキャンペーンを展開している。今週からはテレビコマーシャルも始まる。質問する項目は5つ。その1は、「薬の名前は何ですか?」だ。

現状では初診のときに、医師から「いままでどんな薬を飲んでいましたか」と質問されて、ほとんどの人が薬の名前を答えられない。過去にどんな薬を飲んでいたのか、医師にとっては、患者さんの症状を判断したり、治療方法や処方を考える上で、重要な情報となる。

過去には、医療機関側で薬の名前を教えないこともあった。今は医療情報の開示が原則となっていて、さまざまな手段で薬の名前を知ることができる。

前に飲んだ薬がよく効いたときや逆に副作用を経験したことがあれば、その薬の名前を覚えていて、次に薬を処方してもらうときに医師や薬剤師に伝えて配慮してもらうこともできる。

ほかの薬との飲み合わせや薬局でほかの薬を買うときにも成分が重複していないかなど、薬局でチェックするときに薬の名前を伝えることが必要になる。

薬の名前をしっかりと覚えておくことは、さまざまな薬の情報を引き出すための入り口になるだけではなく、災害に備えるという意味合いでも必要だ。

阪神淡路大震災の時には多くの医療機関も被災に遭った。同時に患者さんのカルテが失われてしまい、服用していた薬の名前が分からなくなってしまった。救護所に薬が欲しいと訪ねて来られても、血圧が高い、糖尿病だ、と大まかな病名を答えることはできても薬の名前を正確に答えられる人はほとんどいなかった。

疾病名が同じであっても患者さんごとに治療方針は異なり、使われる薬も違う。すぐに同じ薬を必要とする人もいる。緊急時の対応も考えて、薬の名前を確実に知っておくことが必要だ。