『第326話』 パーマ液の誤飲、特別な処置必要

日本中毒センターには毎日100件以上の誤飲事故による相談が寄せられている。特に1歳未満の乳児に誤飲事故が頻発し、乳児5~10人に1人が何らかの化学物質を誤って摂取する事故に遭っている。

最も多いのがたばこの誤飲、次いで化粧品、洗剤、家庭用殺虫剤と続く。

化粧水や各種のクリーム、おしろいや口紅などのメークアップ用品は、誤飲しても危険性は低い。ヘアリンスやヘアクリームなども同様でこれらはよほどの量液を摂取しない限り中毒症状は現れない。従って、特別な処置は必要ない。

ただし、ヘアトニックにはエタノールが含まれていて、医薬品の消毒用アルコールと同じ濃度を含有する製品もあり、誤飲する量によっては危険な場合もある。

危険度が高いものとして、気をつけなければいけないのはマニキュアやその除光液、パーマ液の第一液と第二液、義歯洗浄液(アルカリ性のもの)などがある。

以前、家庭にパーマ液はなかったが、近年、家庭でも手軽にパーマがかけられる製品が出回り、これらの誤飲事故が増えてきた。

パーマ液の第一液は弱アルカリ性で刺激はさほど強くないが、誤飲したらまず水を大量に飲ませて薄め、胃を洗浄する。

第二液は臭素酸カリウムや臭素酸ナトリウムが主成分で、第一液に比較して毒性が高い。これらを誤って摂取し、中毒になると、消化管に強い刺激作用があり、吐き気やおう吐、胃が焼けるような痛みや腹痛、下痢などが起こる。また、誤飲後、2~3日後に尿が出なくなるなどの腎臓(じんぞう)障害や耳が聞こえなくなるなどの特徴的な障害が起こる。

胃の洗浄はもちろんのこと、血液透析や腹膜透析など特異的処置も必要となるので、直ちに病院に行かなくてはならない。

また、皮膚に触れたり、目に入ったときは十分に水で洗浄し、異常を感じたら医師に見せるようにする。

毛髪用をはじめ、さまざまな化学薬品があふれる今日、しっかりとした保管方法を身につけてほしい。