『第399話』 花粉症治療に抗アレルギー剤

花粉症の季節とあって、職場の中でも鼻を押さえながら、涙を流している人を見掛ける。

花粉症はさまざまな花粉によってアレルギーを引き起こす疾病だ。

粘膜に付着した花粉から特有のタンパク質が吸収されていくと、これがアレルギーを起こす原因物質となって、リンパ球のうちのB細胞が免疫グロブリンEをつくり、リンパ液や血液中に放出を始める。免疫グロブリンEは肥満細胞にくっつく性質を持っていて、皮膚や粘膜にある肥満細胞の表面に次々と付着していく。こうしてアレルギーを起こす準備ができる。

そして、花粉由来のタンパク質が肥満細胞に付いている免疫グロブリンEと結合すると、肥満細胞の中からヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質が肥満細胞外へ放出される。

これらの化学伝達物質は知覚神経を刺激して、くしゃみや鼻水を起こしたり、血管を広げて粘膜を充血させ、粘液の分泌を促進する。すると鼻がグジュグジュし、目が充血して涙目になる花粉症の症状になっていく。

従って、花粉症の治療や予防には肥満細胞からのヒスタミンの放出を抑える抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤が使われる。

現在の抗アレルギー剤はかつてのように眠気を起こすことが少ない第二世代抗ヒスタミン剤になっている。このため、花粉にさらされる可能性が高いと考えられる日中の薬物血液濃度を維持するために、朝食後から服用する薬もある。

抗ヒスタミン剤は抗コリン作用を持っているので緑内障や排尿困難症を悪化させることがある。こうした疾患を持っている人は医師に申し出てもらいたい。また、胃薬の中にはロートエキスのように抗コリン作用を持つ成分を含むものがあり、副作用を発現する可能性が高まるので薬局・薬店で胃薬を購入するときには前記の疾患があることや抗ヒスタミン剤などを服用していることを伝えてもらいたい。

花粉症の時期だけでなくさまざまな原因でアレルギーが発現し、年間を通して、抗アレルギー剤を服用している人も多い。十分に情報を入手して安全性を確保し、治療に専念してもらいたい。