『第437話』 疲れると頭が痛いのは…

人込みの多いところへ出掛けたり、さまざまな商品を見ながら買い物をしているうちに頭痛が起こることがある。

いわゆる疲れて頭が痛くなるもので、緊張性頭痛と呼ばれる。

血管が拡張して痛む片頭痛とは異なり、頭や首の筋肉が凝るために起こる頭痛だ。痛みも激痛というほどではないが、頭痛に伴って目の疲れや体のだるさ、軽いめまいを訴えることもあり、「頭痛持ち」と呼ばれる人の約半分はこのタイプだ。

緊張性頭痛は目を酷使したり、首に負担がかかるような姿勢での長時間労働が原因になるほか、首の筋肉が弱い、歯の噛(か)み合わせが悪いなどといったことでも生じる。

緊張性頭痛が始まったら、まずは安静が第一。ひと寝入りできるとだいぶ楽になる。後頭部や首の筋肉をほぐすような入浴や指圧、マッサージなども効果的だ。

薬物としては、非ステロイド系抗炎症剤と筋肉の緊張を和らげる筋弛緩(しかん)剤を組み合わせて服用する。また、筋肉の凝りをとる貼(は)り薬も効く。

筋弛緩剤は肩凝りや腰痛でも使われる。大脳や脊髄(せきずい)に作用して神経の異常な興奮を鎮めて、筋肉の緊張やこわばりを取り除く薬剤だが、作用の強いものは副作用にも注意しなくてはならない。

筋弛緩剤はどの薬にも共通して眠気やだるさ、ふらつきが現れやすいので、高齢者が服用する際には転倒に十分注意しなくてはならない。また、妊娠中の人は服用できない。

不安なことや心配事があって眠れない、気分がふさぎこむなど精神的ストレスでもこの頭痛が起こることがある。

精神的ストレスが強い場合には抗不安薬や抗うつ剤も用いる。抗不安剤の中にはジアゼパムやエチゾラムなどのように強い筋弛緩作用を持つものもあり、不安、不眠、緊張などによる緊張性頭痛には適当な薬剤だ。

緊張性頭痛に対しての予防的な薬剤はないに等しい。できるだけ精神的ストレスを抱え込まないような環境をつくることが必要だ。

適度な運動で筋肉をほぐし、疲労をため込まないことも大切。とはいえ、緊張しっぱなしでもいけないが、緩みっぱなしでもいけない。このバランスがなかなか難しい。