『第534話』 【薬の点眼】50歳以上の人は使用時に確認を
薬の使用方法を誤ると、場合によっては取り返しのつかないことになる。
国民生活センターが8日に公表した資料によると、平成4年4月から昨年11月までに、目薬以外のものを点眼してしまった人の91.7%は50歳以上の人だ。10歳未満の間違い例1件も、祖母が孫に間違えて点眼したものだった。
間違えて点眼した医薬品は、水虫治療薬23件、皮膚疾患薬8件、点鼻薬3件、うがい薬、消毒薬などが1件ずつで、77.1%を占めている。中には粒状丸薬もあり、注意しても完ぺきとはいえない状況がある。
このほかのものでは、マニキュア、コンタクトレンズ洗浄液、シャンプー、香水、靴下止め、修正液となっていて、液体のものであれば何でも間違える可能性があることを示している。
水虫治療薬の中には皮膚に押し付けないと液が出ない機構になった容器が使われているものもあるが、すべてではない。
危害の程度は、36件の病院から得た情報では、23件が通院を必要とした。また、中等症が2件、治療期間が1カ月以上のものが1件あった。
海外出張中に間違ってうがい薬を点眼した例では、現地の医師が日本の医薬品製造元から成分表を聞き取って対処したが、1カ月たっても黒点がいくつか見えるという事例がある。
うがい薬はもともと消毒薬と同様の成分で、タンパク変性作用を持っているものがある。角膜のタンパク質が変性を起こせば、角膜はゆで卵の白身状態となり、失明の危険がある。
水虫治療薬や虫刺され薬は、目薬のように目のpHや浸透圧に調整していないので、誤って点眼すると、激しい痛みを感じることになる。また、角膜や結膜に影響を及ぼし、目の充血を引き起こすことがある。
水虫治療薬と目薬を一緒の袋に入れておいた、テーブルの上に両方を置いて間違ったなどの事例があり、薬の管理方法や確認方法に注意を払いたい。
間違って点眼したときには、水かぬるま湯で目を洗い、眼科に受診する。
点眼薬には大きく「目薬」と書き、間違いが起こらないよう確認をしてから点眼する習慣をつけたいものだ。