『第516話』 【禁煙】強い意志と家族の支援必要
カセットテープ付きの禁煙補助剤があす10日から発売される。カセットテープは決しておまけで付いているわけではない。それなりの理由がある。禁煙の目的を達成するためには、禁煙に至るまでのプログラムと使用方法をしっかりと頭に入れて、強い意志を持って立ち向かう必要があるからだ。
禁煙に向かっては、その前段階で十分に時間をかける必要がある。人が1番できないことは、固執した考え方と習慣を変えることだといわれている。まず、たばこを吸う習慣にとらわれているわが身がいることを自覚する必要がある。そして、とらわれの身から解放され、希望がかなったときの喜びと健康的な生活を送る明るい未来を想像する。意志の弱さや心理的依存をカバーしてくれる温かい家族の支援も必要だ。
国内の成人喫煙人口は2,300万人。このうち禁煙希望者は26.7%の850万人、節煙希望者は1,250万人いる。「健康日本21」を背景に禁煙は国家的事業になってきた。
喫煙による健康被害は、がん、呼吸器疾患、心疾患、脳疾患など多くの疾患が考えられる。特にがんは、肺がんで喫煙しない人の4.5倍、咽頭(いんとう)がんでは32.5倍にもなる。
禁煙補助剤は2ミリグラムのニコチンを含有するガムになっている。たばこを吸いたいと思ったときに、1回1個を30~60分かけてゆっくりと断続的にかむ。すると、ニコチンが口腔粘膜から吸収されて、イライラや集中困難といった身体的依存を緩和してくれる。1日4~12個から始め、禁煙に慣れてきたら使用個数を減らしていく。1日1~2個になったら使用をやめる。やめるまでの期間は、3ヵ月が目安だ。
1年以内の再喫煙率は60~70%といわれていて、これは麻薬やアルコール依存症と同じ率だ。禁煙仲間をつくリ一緒に禁煙を始めるとより禁煙率が上がり、効果的だ。
ぜひ、希望を抱いて、禁煙に挑戦してもらいたい。