『第26話』 増える高齢者の誤飲中毒の事故

高齢者の誤飲中毒事故が増えている。感覚や判断力の衰えから化学物質を食品と勘違いしたり、薬の使用目的や用法を間違えたりする。

ゴキブリ駆除用のほう酸だんごを台所に並べて乾かしてあったところ、誤って家族が食べてしまった。

息子から届いた小包の中に、アルミパック包装のものがあった。コーヒー好きの母親は早速フィルターでコーヒーを入れた。しばらくすると頭痛がしてきた。包装をよく見ると小さな字で「パイプたばこの葉」と書いてあり、大きな表示はほとんど英語だった。

老人は視力が低下しているためうがい薬を水薬と間違えたり、1日3錠を1回3錠と勘違いすることもある。インタールやリノコートといったカプセル剤は特殊な吸入器具を用いるぜんそく薬だが、そのまま飲んでしまう人もいる。

現在のカプセルや錠剤に含まれる量は老人には不向きのことがある。老人は生理機能が衰えているため、薬の代謝、排せつも遅くなる。そのため薬剤が蓄積しやすく、正常用量でも中毒を起こすことがある。しかも複数の病院を受診している場合は、同じ成分が重複することもある。

予防には家族の協力が望まれるが、メーカーの研究も進み、短時間型薬物や、逆に飲む回数を減らすための長時間型のものなど老人用薬の開発を進めている