『第45話』 湯洗いで痔改善、散歩も効果あり

痔(じ)の患者の約70%はイボ痔だといわれる。便秘による排便時のいきみは、肛(こう)門周辺の血液の流れを悪くしてうっ血(血液がたまった状態)を起こす。反対に下痢が続くと、肛門部は炎症を起こして充血し、同様の状態となる。

そうなると肛門部の静脈がふくれてイボ状やコブ状となり、一種の血まめが出来る。肛門の外側に出来れば外痔核で、内側に出来ると内痔核だ。どちらも初期なら薬や入浴で治せる。朝と晩、排便時には、肛門を顔と思ってお湯で丁寧に洗うことが大事だ(洗浄トイレが便利)。

きれ痔の場合は排便の前後に痛みがあるので排便前に軟こうを塗り、排便後によく洗ってから、再度軟こうを塗る。さらに油脂性基剤の坐薬(ざやく)を併用する。坐薬は入浴後、体が温かいうちに入れ、そのまま寝るのがよい。ひと晩の間に薬が溶けて便や粘膜に付着し、肛門内に潤滑性を与えて翌朝の排便がスムーズになる。

副腎(ふくじん)皮質ホルモンの入った坐薬や軟こうは、激しい炎症に優れた効果があり、はれや痛みをよく鎮める。しかし長期間使用すると感染に対する抵抗性が落ちる。あくまでも急性期に用いる。

外用薬は早ければ2、3日で効果が出る。10日以上たっても効果がない時は、痔以外の病気を疑ってみる。

日ごろ歩くだけでも、腸の血流は促進され便通もよくなる。散歩は痔にもよし。大いに散歩を楽しもう