『第52話』 薬の飲み合わせ、激しい副作用も

食物の食べ合わせについてはいろいろと言い伝えられているが、ほとんどが迷信だ。

しかし薬には、同時に服用すると激しい副作用が出たり、肝臓障害や胃かいようを誘発したりするものがある。この薬の飲み合わせを専門用語で医薬品相互作用といい、現在まで約3,000の報告がある。

東北7県の病院薬剤師で組織する「医薬品相互作用研究会」の調査では、外来患者には平均約4種類の薬が投与され、高齢になるほど種類が多くなっている。入院患者ではさらに多く、8種類程度の薬が併用されている。

医薬品相互作用で特に注意しなくてはならないのが、同時にいくつもの診療科にかかる時と大衆薬を買う場合だ。

医師は必ず診察時に薬を飲んでいるかを聞く。服用している薬があれば必ず診察時に持っていき、見せてもらいたい。うその申告は自分にマイナスになるだけだ。

大衆薬を買う場合も同様に薬剤師に見せる。薬局では家族単位で薬を服用した歴史(薬歴)をつけているところがある。家族単位でつけるのは大衆薬が家族間で共用されるためだ。

医師からアスピリンを服用しないようにと指示された糖尿病患者でも、つい忘れて家族が服用していた風邪薬を飲んでしまう場合もある。しかし、家族単位で薬歴をつけると家族の注意を喚起するとともに、薬瓶に注意書を記入するなどで相互作用は防ぐことができる。

医薬品相互作用を防ぐためには1カ所の薬局であらゆる薬の管理をしてもらう必要があり、薬剤師会では家族単位で「かかりつけの薬局」を持ってもらうよう呼び掛けている