『第54話』 病気ではないがいびきにも注意

いびきはたいてい本人よりもそばで寝る人が、悪い病気ではないかと心配したり、あるいは安眠妨害に絶え切れず受診させるという。

口から入った空気がのどを通過する時、何らかの原因で通り道が狭くなっていると、吸った空気の流れがその付近を振動させて音を発生させる。その空気の流れが速いほど、いびきが生じやすくなる。

へんとう腺(せん)がはれている時も狭くなる。また、生まれつき下あごが小さい人も同じようになりやすい。

いびきは酒や睡眠薬を飲んだ時にもよく起こる。眠りが深くなると、上気道を広げる筋肉(舌筋)の緊張がゆるんで狭くなるからだ。

いびきの薬として話題を呼んだのはグリセリンと食塩水からできた液剤で、成分は洗腸(かんちょう)液と同じだ。寝る前に鼻の中に少量たらすと組織を潤し、のどの空気抵抗を下げるため、ある程度いびきを予防できる。

通常いびきは病気とされてはいないが、ほんの一握りの人は要注意だ。

睡眠時無呼吸症候群という病気がそれだ。強いいびきを伴い、一晩に何回も息が止まる。1回の発作で2~3分も止まったり、一晩に数百回も無呼吸発作を起こす人もいる。このため、睡眠中に深刻な酸素不足に陥ることによる突然死との関連性が指摘されている。

無呼吸発作を調べる簡易診断装置もあるので、心配な人は耳鼻科を受診してほしい