『第55話』 血の流れが悪く筋肉が酸素不足

「文鎮で厳しく打っても感じない」といったほど、あの樋口一葉もかなりの肩こりだった。

勤め人や主婦が自覚症状として挙げる第1位は肩こりだ。医学用語では頚肩腕(けいけんわん)症候群といい、主に僧帽筋の痛みを指す。

コリという現象は筋肉への血の流れが悪くなり、筋肉が酸素不足になると起きる。そのため、その部分をもんだり、たたいたり、温めたりすると血の流れが良くなり一時的に楽になる。

血流の改善と痛みを抑える薬として、よく使用されるのは張り薬で、パップ剤と呼ばれている。温感タイプと冷感タイプがあるが、血行を良くするのは温感タイプだ。トウガラシエキスを主成分にしている温感タイプは刺激が少々あり、人によってはかぶれることもある。従来の成分に、炎症や痛みに優れた効果をもつインドメタシンなどを配合したものも出ている。

軽い肩こりならば、入浴や使い捨てカイロ、サポーターなどによる肩の保温、ビタミンB1の摂取や鎮痛剤、筋弛緩(しかん)剤の内服などで改善されることが多い。

ヘッドホンで大きな音を聞いたり(特にヘビメタやロック)、光や映像などの刺激を受けると、体内のビタミンB1は消失する。若者やOA機器を扱う人に慢性的な肩こりが広がっている要因の一つだ。

磁気の粒を張ったり、低周波治療器を用いる時は、指で圧痛点(ツボ)を探り、正確にその場所を押さえれば効果が期待できる