『第56話』 一般妊娠検査薬、来月から発売に

昨年10月に発売開始された一般用尿糖、尿たんぱく検査薬に引き続き、7月1日から妊娠の早期判定の補助として用いられる一般用妊娠検査薬が発売される。

妊娠すると、子宮内の胎児を守り育てるために必要な酸素を送り、さまざまな栄養、老廃物を受け渡す胎盤が形成される。この胎盤は受精卵から作られた絨(じゅう)毛と子宮内膜の脱落膜からできている。

絨毛の細胞は妊娠を維持させるために、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)を分泌する。これが、母体の血液中を流れ、腎臓(じんぞう)から尿中に排せつされる。尿を検査すれば妊娠しているかが分かるわけだ。

一般用妊娠検査薬には感度が高く、hCGと特異的に結合するモノクロテール抗体が使われている。生理の周期が順調であれば、次の月経予定日の1週間後には検出が可能だ。

しかし、生理の周期が不規則であるとか、妊娠していても尿中hCGが少ない人は陰性となることがある。検査後1週間たって生理がない場合は、再度検査をするか医師に相談する。

大量のhCGが分泌される疾患では測定範囲を超えてしまい、陰性となることもあるので注意が必要だ。

また、検出されたからといって正常妊娠とは判断できない。胞状奇胎、子宮外妊娠といった異常妊娠、絨毛の腫瘍(しゅよう)、hCG産生腫瘍でも陽性となるからだ。

陽性と判定された時には1日も早く専門医で受診し、超音波画像診断法による確定診断を受けてほしい