『第62話』 年1回の検査で品質を適正管理

薬局・薬店で販売される医薬品が適正な品質を保っているかどうかを検査する制度が、昭和63年から始まっている。

医薬品製造メーカーには、GMPと呼ばれる厳しい品質管理が要求されている。しかし、工場出荷後の品質についてはあやふやな面もあり、これをチェックするのがこの制度の目的だ。

検査は全国の医薬品試験検査センターで年1回、それぞれの実情にあわせて検査品目を選定し、計画的に実施している。

例えば、ドリンク剤は温暖な地方では気候を考慮し、高温で分解しやすいビタミンCを取り上げ、規定量が含まれているかを試験している。明らかに、温度の高い場所に放置されたドリンク剤(医薬品以外を含む)ではその含量が低下していた。

また、製造直後の製品では、表示されている含量の150%以上を含み、分解することを考慮に入れて製造されているものがあると報告されている。

最近、問題となったのは精製水、コンタクト用洗浄水の微生物汚染である。

精製水はコンタクトレンズの洗浄や洗眼の目的で用いられているが、1ミリリトル中10,000個以上の一般細菌で汚染されたものが見つかり、同様の報告が各県のセンターから寄せられた。

調査の結果、いくつかの製造法の中で、イオン交換樹脂法のメーカーに不良品が多く見つかった。このため、製造工程を変更し、改善を行った。

さらに、コンタクトレンズ用洗浄水には自主基準が設けられた。精製水を煮沸せずそのまま使用したい人には、滅菌精製水というのがあるのでこちらをお勧めする