『第76話』 フロン代替品は火に気を付けて

オゾンホール出現や紫外線の増加が観測されている。すでに大量に放出されたフロンガスの影響が消えるまでには何十年もかかり、今すぐにでも大気への放出を止めなければならない状況にある。

日本でも88年にオゾン保護法が制定され、具体的な生産および消費の規制が始まった。ところがこれでは不十分であることが判明し、89年にはフロンの今世紀中の全廃などをうたったヘルシンキ宣言が採択された。これに伴い、日本でも91年にオゾン保護法が改正されている。

フロンを使っているものでは身近にはカークーラーがあるが、家庭内では代替が進んでいる。それがヘアスプレーなどのエアゾール噴霧缶だ。

日本でのフロン使用量の15%、世界では25%が不燃性の性質を利用したエアゾール用だが、89年8月からは人体用エアゾール噴霧剤へのLPガスなどの使用が全面的に解禁されている。

代替品には大きく「可燃性火気注意」と明示されている。ストーブやコンロなどの火気付近で使用しないことが、まず絶対条件だ。また、温度が40度以上になる場所に放置することも危険だ。吹き出し口付近の温度が100度を超える石油ファンヒーターの前に置くと、破裂や爆発事故につながるので注意が必要だ。

世界的に地球環境保護が叫ばれる中でこれほど具体的な対策が検討され、取り組みが行われている物質はほかになく、それほど緊迫した状況にあることを認識し、代替品を安全に使用してもらいたい