『第77話』 薬に関心を持ち効果を引き出す

「薬は聞くが効く」という題の本がある。自分の飲んでいる薬に関心を持ち、疑問点をよく聞いてこそ、正しい服用による効果が引き出せることを説いている。

先日、県北で無資格で診療行為をし、治療薬と称して炭酸水素ナトリウム、窒素、水などをタオルに染み込ませたものを販売した男が逮捕された。難病に苦しむ患者に付け込んだ悪質な事件である。

しかし、インタビューに応じた老人が、ひざが痛くて折ったり伸ばしたりできなかったのが、そのタオルを当てるようになったら楽にできるようになったと答えていた。効果などあるはずのない、まがい物の薬が、その老人に効果を表した事実は見逃せない。

例えば、高血圧の患者の多くは薬と一生付き合わねばならない、そのため薬に嫌気がさしたり、自分と相性が悪い薬は相談せずにやめたりしてしまう人もいる。また、自覚症状の少ない糖尿病患者には、薬の必要性が分かってもらえないこともある。

睡眠剤や更年期障害の楽などはいつまで服用すればいいのか、長期間使っても大丈夫なのかといった不安を多くの患者が持っている。

これらの疑問に対し、服薬指導という形で医薬品情報が提供されている。それとともに、本来の治療効果を発揮させるために医師や薬剤師に問いかけ、納得して薬を服用することが必要だ。どんなによいものが登場しても、対話がなければ生かされないのが薬である