『第86話』 乾燥肌は洗浄後「尿素軟こう」を

冬は空気が乾燥するほか、暖房や電気毛布の使用など皮膚の乾燥を招く条件が多くそろっている。

皮膚の表面には、ケラチンというタンパク質からできている角質層がある。水をたくさん含んだスポンジのようなものだ。この上を脂質と汗(水分)が混じり合った皮脂膜が覆って、水分の蒸発を防いでいる。このおかげで、ひびやあかぎれにならないでいる。

健康な肌は、ふろに入って皮脂膜を洗い落としても、1、2時間で元に戻る。ところが乾燥肌の人や老人、子供たちは保湿力が小さく回復が遅れる。特に洗浄力の強い石けんやデオドラント(脱臭)石けんと呼ばれるものを使用すると、肌がかさかさになってしまう。

デオドラント石けんには殺菌剤や消炎剤が含まれている。普通の石けんよりも消毒作用が強いので手指の見えないばい菌を落とすのに効果がある。また殺菌成分が、汗や皮脂を分解して体臭の原因になる細菌の働きを抑えるので、ワキガや多汗症の人にも適している。

 デオドラント石けんには薬用石けんと表示があるため、肌に良いという印象も受けがちだ。しかし、顔の洗浄や乾燥肌の人には刺激が強すぎる。肌がかさかさする人は保湿剤入りや低刺激性の薬用石けんを使用し、保湿効果の高い尿素軟こうなどで乾燥を予防したい。

軟こう類は塗る場所によって吸収力にかなりの差がある。足の裏が一番吸収が悪く、陰部はその300倍も吸収が良い。どの部分にどの程度塗るべきか、薬剤師にアドバイスしてもらおう