『第87話』 痛風の薬服用は使用量の厳守を

痛風はかつて帝王病といわれ、美食飽食家、肥満体の人がなる病気とされた。その意味で食事療法が主流と思われがちだが、現在では薬物による治療がかなめとなっている。それでも、病気の原因となっている血液中の尿酸値を上げてしまうプリン体を多く含む油詰イワシ、レバー類や高カロリーのアルコール類を暴飲暴食することは慎まなければいけない。

痛風患者は圧倒的に男性が多い。女性よりも男性の方が血液中の尿酸値が平均で1デシリットル中約1ミリグラム多いが、詳しいことは分かっていない。

尿酸塩は針状の結晶をしていて、血液中に溶けきれなくなると関節部に現れてくる。これを体が異物と認識して攻撃を始めると炎症が起こり、痛風特有の激しい痛みが襲ってくる。痛風の90%はひざから下の関節に起こり、中でも足の親指の付け根に起こることが多い。

炎症と痛みを抑えるためナプロキセンなどの非ステロイド系消炎鎮痛剤がまず投与され、治まると尿酸をコントロールする薬が投与される。炎症が激しい時には非ステロイド系消炎鎮痛剤を、短期大量衝撃療法として常用量の2、3倍用いることがあるので医師の指示に従って服用してもらいたい。

たいてい痛風の発作が起こる数時間前から1日前に、発作の起こる部位にほてりや違和感、鈍痛の前ぶれがある。このとき発作の予防としてとん服するのがコルヒチンだ。

これはイヌサフランの根から見つかった毒物で、その根は古くから痛風の特効薬として用いられてきた。フランスでは、この根をぶどう酒で浸出したデュソンの水薬が爆発的に売れたという記録がある。

コルヒチンは発作が始まり痛みが激しい時に服用しても効果はなく、悪心、嘔吐(おうと)、下痢などの消化器に対する副作用があるので用法用量は厳守する