『第89話』 「血中尿酸値」のコントロール剤

痛風患者は同時に高脂血症、肥満、高血圧症などであることが多い。これは、各疾患に共通する食生活や生活環境のためだと考えられる。

痛風の治療が十分でなかったころは、合併症として起こる慢性腎(じん)不全による尿毒症が死因のトップだった。これは痛風の原因となっている尿酸塩の結晶が、腎臓に出てくるためだ。腎臓の障害は自覚症状が表れにくいが、のどが渇きやすい人は医師にそのことを告げてもらいたい。

こうした痛風の予備軍とされる無症候性高尿酸血症患者は、痛風患者の10倍はいるだろうといわれている。血液中の尿酸値が高くなる原因がはっきりしていればその疾患を治療することが必要だが、多くは原因がはっきりせず次の三つに分類されている。体内で尿酸が多く作られる生産過剰型、体外へ排せつする量が減ってしまう排せつ低下型、そしてこれらの混合タイプだ。

この分類の違いによって血中尿酸値をコントロールする処方薬も異なる。尿酸が体内で合成されるのを防ぐアロプリノール、排せつを促進するベンズブロマン、プロベネシドなどが単独あるいは併用で使われる。

尿酸排せつ剤と一緒に排せつされた尿酸塩が尿路で結石を作らないように、尿をアルカリ化する薬が処方されることがある。尿を完全にアルカリにしてしまうと細菌が繁殖しやすくなったり、別の種類の結石ができやすくなったりするので、尿のPHは6.5が理想的だ。尿のPHを調べる試験紙があるので自分で確認できる。さらに尿が1日2リットル程度出るように水分をとる。治療経過によって計画的に投与する薬や量が変わるので、医師の指導をよく聞いて正しく服用する必要がある。

薬は血液中の尿酸値を上げている原因がなくならない限り生涯服用する必要があり、痛風の痛みがなくなったからといって勝手に服用を中止してはいけない