『第91話』 医師の処方薬が多剤になる理由

医療機関にかかれば、何種類かの薬を処方されることが多い。なぜこれほど多くの錠剤やカプセル剤を服用しなければいけないのかと、お問い合わせをいただく。

医療機関から処方されている医療用医薬品の錠剤やカプセル剤は、そのほとんどが有効成分を1種類しか含んでいない。一方、病気には多くの症状が伴う。風邪であれば熱、せき、鼻水、頭痛、関節痛、下痢といった具合だ。

医師は診察の結果によって、慎重に薬を選ぶ。風邪に一つの成分で効く薬があればいいのだが、今のところそのような薬はない。このため必然的に、何種類かの医療用医薬品を組み合わせて服用することになる。

薬局・薬店で買う一般大衆薬は1種類だと思っている人がいるが、その成分表を見ると何種類かの薬の成分が表記されている。1回の服用で、数種類の成分を一度に服用しているのと同じなわけだ。

しかし、医療用医薬品は最も安全で効果的な治療ができるように、組み合わせて服用することを最初から想定し、基本的に一つの成分だけを含むように作られる。

このため、服用する剤数が多くなってしまう。

一つ一つの成分を組み合わせることによって、患者に最も適した薬だけを投与することができるわけだが、その半面、薬の飲み合わせ(医薬品相互作用)による副作用が問題となることがある。

不安に感じたときには、かかりつけの医師や薬剤帥に問い合わせてもらいたい