『第95話』 便秘薬は長期間使用考慮し選択

食物は食事をしてから約24時間で便となって排せつされる。でも、3日に1回の排便でも全部出たと感じるほどすっきりするのなら、心配はない。逆に、何回排便しても残っている感じがあるのなら便秘といえる。

ここ数年便秘の薬に大きな進歩はない。治療の本筋は適切な食事指導と生活習慣(排便習慣ともいえる)の改善だ。

しかし薬に頼らざるを得ない慢性便秘の患者も多く、この場合は長期間使用することを考慮した薬を選択する必要がある。薬を飲まないと便が出なくなるといった習慣性がなく、腸管粘膜に炎症を起こさないもの、体内に吸収されない(副作用が少ない)ことなどがポイントになる。

これらを満たしている薬として、硫酸マグネシウムや酸化マグネシウムに代表される塩類下剤がある。

塩類下剤は水分を腸管の外から内部へと移動させる。そのため腸の内部は水分で膨張し、硬い便がほぐれて腸の内容物が増大する。これが刺激となって排便が促進される。

食物織維は便の「かさ」を増す働きがあるが、これと同じ作用をするものとして膨張性下剤と呼ばれるものがある。CMCという水分を吸収する成分が代表的で多量の水と一緒に飲む必要がある。

硬いふん便に直接浸透して軟らかくする界面活性剤は、浸潤性下剤と呼ばれる。

こうした便の量を増やしたり軟らかくする便秘薬は、習慣性や副作用が少なく長期間使用できるので慢性便秘に適する。ただし作用自体も緩やかなので、場合によっては他の刺激性下剤と併用することがある