『第96話』 生薬のセンナも相談して使用を

便秘薬といえば生薬のセンナが有名だ。アロエや大黄(ダイオウ)、カスカラサクラダなどの生薬も同じ仲間である。これらのエキスと腸内細菌が反応してできた物質が、腸粘膜や腸壁の神経を刺激して大腸の蠕動(ぜんどう)運動を起こす。8時間から10時間ほどで効き目が表れるので寝る前に飲むのがよい。種類によっては尿の色が変わることがある。

このように大腸を刺激して排便を促す薬には、生薬以外にもフェノバリン、ビサコジル、ピコスルファートナトリウムなどがある。しかし、これら刺激性の下剤は骨盤内充血を引き起こすので痔(じ)の人や、月経、妊娠時には使ってはいけない。またアロエや大黄は乳汁中へ移行するので授乳中は使用しない方がよく、センナも医師の指導を受けるなどして慎重に使う。

便秘症の中でも大腸の内容物が直腸に到達するのに長時間かかる弛緩(しかん)性便秘は高齢者に多い。これは内容物が到達したという“サイン”を脳に送る大腸粘膜の“感受性”が低下している場合が多いので、刺激性の下剤が適する。

逆に大腸の緊張が高まると、腸壁の筋肉がけいれん収縮する。便は水分が多量に吸収され硬く小さなウサギの糞(ふん)のような状態となる。これがけいれん性便秘で、自律神経のバランスの崩れ、腸壁の炎症や下剤の乱用によっても起こる。この場合、腸粘膜が過敏になっているので、前回紹介した塩類下剤、膨張性下剤など非刺激性の下剤を使用する。

ほとんどの下剤について、妊娠中はできるだけ飲まない方がよいという注意書きがつけられている。ただし酸化マグネシウムやレシカルボン坐剤(ざざい)と呼ばれるものは使用可能だ