『第99話』 1万例にも及ぶ使用成績を調査(医薬品の再審査制度)

医薬品の有効性と安全性を確認するため、さまざまな情報が収集され、整理されている。

しかし、それぞれのメーカーが別々に情報を収集し、項目別に整理するだけではその目的を十分に果たせない。そこで統一された順守事項を定め、調査の適正化と資料の信用性を確保しようとするGPMSP(新医薬品等の再審査の申請のための市販後調査の実施に関する基準)が、この4月1日から再審査制度に適用されている。

再審査制度とは新薬を承認してから原則として6年後に、厚生省が承認した内容が適当であったかどうかを再審査する制度だ。このときメーカーには、10,000例に及ぶその薬の使用成績を調査してまとめ、報告することが義務づけられている。

調査は薬の副作用や安全性だけでなく有効性についても行われる。その結果、再審査結果としてまとめられ、関係者に通知される。仮に有効性が十分でなかった場合は承認が取り消される。

新薬を開発する段階では有効性と安全性を確認するため、実際に医療の場で薬を試験的に使用する臨床試験が行われる。そのとき承認審査のために必要な1,000例ほどのデータが集められる。この臨床治験薬を服用する対象となる患者には安全性の観点から高齢者、子供、妊婦、他の薬を服用している人は除かれている。しかし、新薬承認後はこうした制限がなくなり広く用いられるため、再審査を行って特定の年齢層や特殊な患者に対する有効性、安全性をさらに確保することが必要だ。

この1、2年、GPMSPの(考え方の)基礎ともいえる統計学的な手法を応用した薬剤疫学が脚光を浴び、薬を用いることによって起こる利益と不利益、疾病に対する効果と有用性、費用など広範囲にわたる因果関係を解明しようとする研究が始まっている