『第100話』 副作用相次いだMMRワクチン

おたふく風邪ウイルスによる無菌性髄膜炎の副作用が相次ぎ、MMRワクチンの接種が当面中止されることになった。

無菌性髄膜炎といっても菌がいないわけではなく、おたふく風邪ウイルス、ポリオウイルスなどによって起こるウイルス性髄膜炎とほぼ同意語だ。

MMRワクチンとはMeas1es(麻疹=ましん)、Mumps(おたふく風邪)、Rubella(風疹=ふうしん)、の頭文字をとって命名された3種混合生ワクチンのことだ。

混合して用いられるワクチンにはこの他にもDPT(ジフテリア・百日咳・破傷風)3種混合ワクチン・インフルエンザワクチンなどがあり、多疾病に対する予防が一度にでき、接種者の費用、労力の節減が図れるのが利点だ。

ワクチンには生ワクチン、不活化(死菌)ワクチンおよび細菌の出す毒素を基に作ったトキソイドがある。

MMRワクチンは生ワクチンで、毒性の強い(野生株)ウイルスを何代も培養を繰り返すことによって毒力を弱め、この毒力の弱まった弱毒株を直接接種して免疫力を得ている。

このため、弱毒株といえども免疫力をもたない人が接種を受けた人から感染する第三者感染や突然変異による毒力の復帰が懸念される。

ワクチンの接種によって起こる副作用の多くは発熱と発疹(はっしん)で、ワクチンによって異なるが約1~3週間の間にかなりの高率で起こる。これは異物を接種したことによる正常な生体防御機構が働いているためと考えていい。

しかし、37.5度以上の発熱、頭痛、嘔吐(おうと)がみられるようであれは受診すべきだ。

予防接種によって伝染病を劇的に減らすことに成功し、今後もワクチン接種は必要だ。無菌性髄膜炎がどのウイルス株に由来するのか遺伝子同定法による詳しい調査結果が待たれる。また、免疫機能を働かせる菌体の一部を用いたコンポーネントワクチンなどより安全なワクチンの開発と接種方法が望まれる