『第105話』 薬の服用の判断基準は外来血圧

国民の6分の1が高血圧患者だといわれている。高血圧や肥満が死亡原因となることはまずないが、その先には脳卒中、心筋梗塞(こうそく)といった疾病が待ち構えている。

血圧を初めて測ったのはイギリスの生理学者ステフェン・ヘールズで、1711年のことだ。この時は馬を寝かせ股(また)の動脈に直接ガラス管をつなぎ血液が上がった高さで測った。

血液は血管という入れ物に入っている。心臓も発生学的に見ると血管が変化して形成された器官だ。

血管は瞬間的に眺めると閉ざされた入れ物で、緊張すると交感神経が刺激されて収縮する。ところが、中には逃げ場のない血液か入っていてこれを締めつけることになるので、必然的に血圧を上げる.ことになる。

日々こうした緊張が続く仕事をしていて血圧が高い人には、精神安定剤を用いることもある。

最近は家庭内で血圧を自己管理できる血圧計が普及し、医療機関で測った外来血圧値と違っていることが指摘されている。これは家庭で測っている血圧計が必ずしも不正確なのではなく、長時間待ったイライラや白衣を見て緊張したためと考えられ、白衣高血圧と呼ばれている。

しかし、血圧の基準は外来血圧で設定されていて、家庭血圧の基準はなく、現在この研究が進められている。従って家庭血圧によって勝手に薬の服用を中止してはならない。けれども、降圧剤を飲むとふらふらするといった場合には血圧が下がりすぎていることもあるので、かかりつけの医師に相談し、併せて正しい家庭血圧のモニター方法を聞くことも必要だ