『第106話』 境界域高血圧は運動などで予防

今や国民病となった高血圧の原因は二つに大別される。一つは腎臓(じんぞう)病、ホルモンの異常などがある場合で、二次性高血圧という。この場合はその原因の治療が必要だ。もう一つは原因となる病気がない本態性高血圧だ。これは全高血圧の約90%以上を占めている。

しかし、全く原因がないのではなく、遺伝的な素質をはじめ、塩分の取り過ぎ、肥満、不規則な生活、ストレスといったことが原因になっていることが多い。その意味では国民皆高血圧の予備軍とみてもよい。

実際に、収縮期血圧(一般に上と呼ばれる値)が140~159、拡張期血圧(同じく下の値)が90~94の値を示す、境界域高血圧と呼ばれている人も多い。

この場合は食事療法や運動療法で予防することが必要だ。

人はストレスがかかると呼吸数が上がり不規則になる。それとともに血圧も上昇する。こうした呼吸と血圧には密接な関係があることが知られている。心の安静を取り戻し血圧を正常化する働きがある深呼吸も一つの予防法。呼吸を整えることによって血圧の正常化を図ろうとするものだ。効果が表れるまで半年程度かかるが、方法は座禅に見られる調息法やヨガの呼吸法と同じで、一般に腹式呼吸法として知られている。

食事療法では食塩の摂取量を1日0.5グラムという厳しい制限をしても食塩感受性に個人差があり、約3分の1の人に効果がない。こうした人たちには利尿系降圧剤が効きにくいという報告がある。

しかし、一般的に食塩感受性の検査は行われていないので、1日6グラム以下を摂取目標にすることは必要だ