『第110話』 下痢の防止にはなま物避けよう

海外で最もかかりやすいのが下痢だ。特に熱帯地域や発展途上国での食べ物、飲み物は病原菌に汚染されていると考えてよい。独自の習慣により用便後、トイレットペーパーを使わずに、水を流しながら左手の指で直接に肛門(こうもん)部を洗い流す人たちも多く、この手で食品を扱えば容易に細菌に汚染される。下痢便は4~8枚重ねたトイレットペーパーを浸透し、手を汚染するので、もし自分が下痢になったら他の人に感染させないためにも用便後、せっけんでよく(3回程)手を洗うことが必要だ。

牛乳・ヨーグルト、アイスクリームなどもなま物であり、貝、エビ、その他生焼けの肉、魚などは食べてはいけない。アルコールに入ってくる氷も生水と考える。ミネラルウオーターを買ったら、ボトルから直接飲もう。グラスが汚染されていることもよくあるからだ。

ヨーロッパの多くの都市の水道は硬水と呼ばれ、下剤の成分となるマグネシウムなどのミネラルを多く含んでいる。そのためそのまま飲むと軟便や軽い下痢にかかったりする。これは単純性下痢と呼ばれ、特に腹痛や発熱は起こらない。薬も必要ないが、心配な人はミネラルウオーターを買い求めた方がよい。

海外に出かける時は短期、長期に限らず歯の治療を済ませてからにしよう。一般に発展途上国で、歯痛を治療するといえば抜歯のことであり、抜いた後も抗生物質などは処方してもらえない。また、アフリカのホテルではかぎがないところも普通にある。世界の中でも特に安全な日本の常識を持ち込まないようにしよう