『第111話』 紫外線のカット、SPFが目安に

夏を迎え、日光に肌をさらす機会が多くなった。

日光の全エネルギーのうち6.1%が紫外線。別の名を四害線ともいい、色素沈着、老化、皮膚がん、光アレルギーといった害を与える。半面、適度な日光浴は皮膚を消毒し、ビタミンDを合成させる重要な働きがある。

近年、オゾン層の破壊が懸念されているが、1%減少すると紫外線が2%増加し、皮膚がんが3%増加するといわれている。

紫外線の強さが天候や季節に影響されることはいうまでもない。ちなみに最も強いのは6~7月で、これは夏至を迎え太陽が最も真上に近い場所を通過しているためだ。

日間の変動をみると、10~14時の間に1日の半分量のエネルギーが降り注いでいる。

紫外線は波長の短いものからUVC(200~280ナノメートル)、UVB(280~320ナノメートル)、UVA(320~400ナノメートル)に分けられる。このうちUVCとUVBの一部はオゾン層で吸収散乱され、地上には届かない。

紫外線は波長が短いものほど皮膚に障害を与える。人工的に作り出したUVCは、紫外線殺菌にも使われているほどだ。

UVBは皮膚に紅斑(こうはん)や水泡を発生させるサンバーン(日焼けによる炎症)を引き起こす。この炎症を防止する目安としてSPF(SunProtectionFactor)が使われている。この数値は実際に人間の皮膚を用いて、紫外線をカットするサンプル剤を塗布した皮膚と塗布しない皮膚に人工太陽の光を当て、わずかに紅斑を生じるまでにかかった時間の比から求められる。つまり「SPF2」とは何も塗らない皮膚が25分で赤くなり、塗った皮膚は50分で赤くなったことを表している。しかし、この数値は個人差やUVAに含まれる肌を黒くするサンタンの防止効果まで考慮したものではない。

紫外線に対して感受性が高い人は、紫外線カット化粧品を単にSPFの数値だけで判断することなく、目的に応じて使い分けることが必要だ。