『第113話』 虫に刺されたらまず氷で冷やす

夏は海や山へ出掛ける絶好のシーズンだが、昆虫類に刺されたときの応急処置を心得ておこう。

ハチに刺されたら、皮膚の中に針が残っていないか確かめる。針が見えたら毛抜きなどで抜き出すが、その際、白い袋状のものがついていたら絶対破らないようにする。これはハチの毒嚢(どくのう)なので、破れると毒液がさらに注入されてしまう。

一般にいわれるアンモニア水は、ハチ刺されには効果はない。まず患部を氷などで冷やす。強い痛みやはれも2、3日で治まってくるので、抗ヒスタミン剤やステロイド剤の軟膏(なんこう)を塗って様子を見る。普通の虫刺されも同様の処置でよい。

過去にハチに何度か刺されたことがある人は、ハチの毒に対する抗体ができ、新たに刺されたとき、アレルギー反応の一種であるアナフィラキシーショックを起こすことがある。刺されてから15分ほどで全身にじんましんが現れ寒け、震え、嘔吐(おうと)などが起き、直ちにエピネフリン、抗ヒスタミン、アミノフィリン注射などが必要である。一度刺されたことがある人は要注意だ。

アリも攻撃性が強いので草のない所にテントを張り、食べ物も外に捨てないようにする。テントの外側に溝を掘り、殺虫剤か少量の石油をまくと、アリの侵入を防げる。

毒グモや毛虫などの細かな針がたくさん刺さった場合は、粘着テープを慎重に張ってはがすことを数回繰り返す。

海でクラゲに刺されたら、クラゲの足や粘液が皮膚についていないか確かめ、ついていたら乾いた砂をかけてそっと取り除き、消毒用アルコールを塗布する。これらの毒は酸に弱いのでアルコールがない場合は、食酢を用いてもよい。刺された患部が硬くなってくると治りが遅くなるので、早めに受診することが必要だ