『第114話』 分からない薬は医師らに質問を

医薬品情報センターに寄せられる問い合わせの中で一番多いのが薬の名前、作用、副作用に関する質問だ。

服用している薬が何であるかを調べることを薬剤鑑別という。かつては錠剤の商品名が記載された包装部分を切り取る耳切りや軟膏(なんこう)剤のラベルが取り除かれていることもあったが、最近はこのようなことも少なくなった。また医薬分業が進み、院外処方せんに記載された内容から自分の服用している薬品名を知ることもできるようになった。特に、院外処方せんは日本語で書くことになっているので分かりやすい。

1回に服用する数種の薬を一包にまとめたものや、錠剤が包装から外された状態で出たりすると商品名が不明のときがある。しかし錠剤、カプセル剤などの包装には製薬メーカーの記号や薬の番号が付いているので、これを手掛かりに調べることができる。だが、中には薬に何も記載されていない場合もあり、調べようのないこともある。

最近では医療機関に問い合わせなくても調べられる薬剤鑑別の本が多種類出版され、ベストセラーになっている。しかし、すべての薬が網羅されているわけではなく、この方法では粉薬を鑑別することができない。粉薬は分析機器を駆使しなければならないからだ。

また、番号などの手掛かりがない軟膏剤は容器の形から鑑別するが、確定的な答を出すことは困難だ。

アメリカでは1983年からゲツト・ジ・アンサー(質問に答えてもらおう)という運動が展開されている。分からないことは、かかりつけの医師や薬剤師に積極的に問い合わせてコミュニケーションを図ることが大切だ