『第122話』 2030年を経て肝硬変やがんに

C型肝炎を起こすウイルスが発見されて4年ほどたった。経口感染するA型肝炎や母子感染によるB型肝炎はよく知られているが、そのどちらの型にも属さない非A、非B型肝炎の大部分がC型であることが分かっている。

A型肝炎は急性肝炎としてだけ起こり慢性化することはない。B型の急性肝炎も成人の場合、慢性化することがほとんどなく自然治癒する場合が多い。

C型による急性肝炎は高率で慢性肝炎に移行し、20~30年を経て肝硬変や肝細胞がんに進むことが証明されている。肝臓がんの3分の2はC型の慢性肝炎が原因という報告もある。

今のところC型肝炎を予防するワクチンはなく、インターフェロン療法が注目されている。インターフェロンは約30年もの歳月をかけ、遺伝子工学を駆使して製造できるようになった医薬品だ。

人間がウイルスに感染すると、ヒトの体細胞はそのウイルスに対抗できるタンパク質をつくりだす。この抗ウイルス性タンパク質がインターフェロンだ。これを与えると、人の体はウイルスと闘う力を発揮し、ウイルスの増殖を抑える。

インターフェロンの副作用はインフルエンザの症状とよく似ており、高熱(39~40度)、筋肉痛、全身けん怠、おう吐、食欲不振や抑うつ、脱毛があるが治療が終わり投与をやめれば治まる。

インターフェロンには直接ウイルスを殺す作用と免疫能力を高める間接作用があるが、これにも限界があり、さまざまな条体によって個人差が出やすい。そのため治癒しない例も半数以上ある。また、肝硬変になってしまった患者には大量出血を起こす危険性があるので投与できない。

治癒しなかった例でも肝硬変や肝がんに至る期間を長くすることができるのではないかと期待されている