『第124話』 緑内障に禁忌の大衆薬に注意を

40歳以上の3.5%(約200,000人)か緑内障にり患していて、そのうちの80%がまだ発見されていない患者であることが9月に京都で行われた国際緑内障シンポジウムで報告された。

緑内障は「あおそこひ」ともいわれ眼圧が上がり、視野が狭くなって、そのままにしておくと失明する疾病だ。

目には栄養補給と老廃物の排出を目的とする房水があり、虹彩(=こうさい=絞りの役割をするところ)の後ろから出て瞳(ひとみ)を通り、シュレム管から排出されている。この房水が何らかの原因で排出されないと眼圧が上がる。

緑内障の90%を占めるのはシュレム管が次第に詰まっていく開放隅角緑内障で、初期は無症状のまま病気が進行する。

隅角とは虹彩と角膜(目の一番前にある空気に触れている透明な膜)に挟まれた部分で、この先にシュレム管の入り口があり、ここが虹彩によって閉塞(へいそく)されてしまうのが閉塞隅角緑内障だ。50歳以上の女性に多く、急激に眼圧が上がって緑内障発作と呼ばれる悪心、おう吐、激しい頭痛を引き起こし、1、2日で失明する。この発作は内科的疾病からくる症状と似ていて、自己判断を誤る恐れがある。薬を服用せず、かかりつけの医師に受診し、手術を受ける必要がある。

開放隅角緑内障の治療には隅角を広げ、房水が排出されやすくするピロカルピン点眼剤などの縮瞳剤(瞳を小さくする)や房水の生産を抑えるβ遮断点眼剤が用いられる。

逆に散瞳(瞳を広げる)を起こす抗コリン作用のある薬剤は、緑内障を悪化せることになるが、この作用を持つ薬は医療用薬、大衆薬を問わず総合感冒剤、胃薬、精神安定剤、抗ヒスタミンなど非常に多い。

大衆薬の説明書には「緑内障には禁忌」と書かれているのでよく読んで確認するか、薬剤師に相談してから購入する。眼科以外の診療科で診察を受ける場合には、緑内障であることを告げることが必要だ