『第125話』 アトピー対応の低刺激性化粧品

化粧品には主に乾性肌用や脂性肌用といった分け方があるが、特に皮膚の弱い人向けの化粧品は重要視されていなかった。

しかし、昨今の若者のアトピー患者増加に伴い、医師たちも本格的にアトピー向けの化粧品開発に参加し始めている。

メーカー側も皮膚医学の臨床データを調べ、過去に皮膚刺激の原因となりにくかったものだけを選別し、低刺激性の化粧品を目指している。

アトピー性の肌の大敵は界面活性剤だ。例えば水と油を混合するとき、界面活性剤を加えると、水と油の接触面(界面)に吸着されて水と油は混じりあうようになる。この界面の性質が著しく変化することを界面活性という。界面活性作用には起泡力や洗浄力、乳化力、柔軟効果などがあり、シャンプーやクリーム、エアゾール製品といったさまざまな化粧品を作ることができる。

アトピー患者向けの化粧品では、この界面活性剤が全く含まれていない製品も登場している。とはいえ、普通のシャンプーやリンス剤には洗浄力の強い界面活性剤が配合されているので、肌の弱い人はできるだけすすぎを十分に行い、首筋や顔にすすぎ残しがないようにしたい。洗髪は体や顔を洗う前にする方がよい。まだ落とされていない体の皮脂膜がシャンプー剤の刺激を和らげてくれるからだ。

皮膚の弱い人は、基礎化粧品の種類をできるだけ減らすことも大事だ。

アトピー患者向けの製品には消炎作用のあるグリチルリチンを配合したり、高純度の試薬を用いて製品の安定性と安全性を保つように工夫され、アトピー肌のみならずニキビ肌の人も使えるようになっている。このような製品はあまり宣伝されることがなく、一部の雑貨店や皮膚科、薬局に置かれているので相談するとよい