『第127話』 多方面の分野でX線撮影が活躍

現代医学にとって画像診断技術はなくてはならないものとなった。体を傷つけたり、痛みや苦痛を与えないで体の内部を見たいという願望をひとまず満足させたのは、ドイツ人ヴィルヘルム・コンラッド・フォン・レントゲンだ。X線は1895年11月8日に発見され、レントゲンは1901年にノーベル賞が発足すると、その第1回物理学賞を受賞している。

X線だけでは写りにくい臓器をあぶり出すために用いられるのが、バリウムやヨードなどの造影剤だ。

これを応用した診断法に、日本が世界に誇ることができる二重造影法がある。約30年前に確立された方法で、胃を膨らまし、体を動かしてバリウムを胃粘膜にむらなく薄く塗り、凹凸を浮き上がらせて胃粘膜の微細構造を撮影する。胃粘膜のシワのより方によって早期胃がんを発見することが可能で、二重造影法の貢献度は計り知れない。

超音波を用いたエコー画像は、1942年にダジックが脳を撮影したのが始まりだ。原理は魚群探知器と同じで、超音波を当てて跳ね返ってくるエコーを画像化する方法だ。輪切りにする断層法や血液を測定するカラードプラ法などがある。

かつて胆石の検査にはX線造影法が必要で、患者への負担が大きかったが、これなどは超音波を用いて簡単に検査できるようになった。

肝臓関連で、脂肪肝、肝硬変、肝がんなどの検査に使われる。このほか、装置が小型であるうえ、X線被曝(ひばく)や副作用などもなく安全で、患者への負担が少ないことから、心臓の弁の動きを見たり、胎児の様子を調べたりする産婦人科をはじめ、さまざまな診療科で応用されている