『第130話』 水のにおいには科学的検査導入

水は万物の源といわれる。たった2個の水素原子と1個の酸素原子から成り、人の生命をはぐくんでいる。人体の水分は成人で60%、新生児では80%。人は80歳までに、飲料水や食物から約60トンもの水を摂取している。

12月1日から改正水道法が施行され、これまで26項目だった水質基準が、一挙に85項目となった。

このうち46項目が基準項目で、29項目の「健康に関する項目」と17項目の「水道水が有すべき性状に関する項目」が規定されている。

これらの基準設定には根拠がある。「健康に関する項目」は1日に飲用する水の量を2リットル、人の体重を50キロとして、生涯にわたって連続して摂取しても健康に影響が生じない水準を基にして評価を行い、さらに現在の検査実績などを総合的に検討して、項目と基準値が設定されている。

一方、「水道水が有すべき性状に関する項目」では色、濁り、においなど、水を飲む際に問題となる要素、腐食性など施設を管理する上で障害となる要素などについて評価が行われ、水道水として基本的に必要とされる項目を選定して基準値が設定される。

今回の施行で注目されるのは農薬の水質基準が設けられたことと、一般においしい水の基準とされている項目が設定されていることだ。特に、水のにおいについては科学的な検査が導入されている。

大阪地区では取水湖の富栄養化によって、アオコやかび臭さが問題となっている。においの原因になっているのは「2-メチルイソボルネオール」と「ジオスミン」で、基準値は粒状活性炭で処理したとき、100トン当たりの水に含まれる量が1ミリグラム以下となっている。この基準値は水銀の50分の1で、それだけ人間のきゅう覚は敏感ということだ。

安全な水が供給されることは当然だが、さらに浄水設備が充実し、甘露というにふさわしい水が供給されることを望みたい