『第131話』 メモ書きしよう、服薬指導の要点

さまざまな形で医薬品情報が飛び交っているが、医薬品情報の基本は添付文書だ。

効果や効能、用法、用量、副作用を含めた使用上の注意など、必要最小限の最新情報が記載されている。

大衆薬には添付文書が同封されているが、こうした医薬品情報の提供は薬事法によって義務付けられている。大衆薬は、売り手と買い手が顔と顔を突き合わせて販売する対面販売が基本となっている。買い手に情報を提供し、正しく使ってもらうためだ。

すべての医薬品には添付文書がついている。しかし、医療機関で処方される医療用医薬品の添付文書は、患者には渡らない。専門家向けで、一般の人が容易に理解できる内容ではないからだ。このため、医師、薬剤師が管理し、診察時や薬が渡されるときに、服薬指導として要点が口頭で伝えられる。従って、指導内容を確認しながらメモ書きした方がよい。

記録すべき内容は名称やその成分、服用する量と回数、副作用の内容と副作用が出たときの対応、飲み合わせてはいけない薬など。口頭だけでは不十分なので、最近は薬局で文書を渡すことも多くなっている。

ところが、医療用医薬品添付文書の内容は非常にあいまいだ。例えば、副作用の頻度については「投与された人の何%」といった具体的なデータではなく、「まれに」「ときに」などの表記が一般的。「まれに」は副作用の頻度が0.1%未満、「ときに」は0.1%~5%未満、特に記載がないのは、5%以上か副作用の出る頻度が不明の場合だ。

現在はこれを補うため、医療機関にはMRと呼ばれるメーカーの医薬品情報担当者が自社製品の情報を提供している。

専門家でも膨大な情報の中から必要な情報を拾い上げることが難しくなっている。こうした中で、患者用の医療用医薬品添付文書を作成する動きもある。薬の情報が掲載された本を持って薬局を訪れてもいい。知りたいことや不安を語り合うことが必要だ