『第134話』 がん誘発しない食生活心がける

遺伝子DNAが損傷を受けたり突然変異したりすると、そのDNAを持つ細胞は何かの要因でがんが誘発される。いったんがん化すると、その細胞は無秩序に増殖を開始する。もとの正常な細胞ではない変異細胞は自分の複製を作り続け、何億個にも膨れ上がったところで腫瘍(しゅよう)となって、ようやく手で触れて分かるようになる。しかし、自覚症状がない場合などは発見が遅れがちだ。

早期発見のためには検診が欠かせないが、すべての臓器を検査することはできない。まずはがん誘発を避けるような食事や生活環境を心がけたい。

前回述べたように、緑黄色野菜や果物に含まれるベータカロチンががん抑制成分として注目されているが、このベータカロチンの酸化を防ぐのがビタミンEである。ビタミンEの再生を助けるのはビタミンCである。

このように、ベータカロチンが効果を上げるには、種々の食品が持つ有効成分をバランスよく摂取しなくてはならない。

ビタミンEは特にナッツ類やひまわり油、米ぬか油といった油類に含まれる。また、緑茶の中からもがん抑制成分が見つかっていることは、日本人にとってありがたいことだ。その他ひじきやワカメなどの海藻類、ニンニクやワサビなどの香辛料、シイタケなどのキノコ類からも次々と有効成分が発見されている。まさに「がん予防のために1日30品目の食品を食べよ」の言葉通りである。喫煙者の場合、非喫煙者と同じ量のベータカロチンを摂取しても、その血中濃度は低くなることも証明されている。

便利さや手軽さが優先される時代だが、ふだんの食生活でがんのリスクを低減できることをお忘れなく。