『第135話』 増える尿路結石、寝る前に排尿を

真珠が体内でつくられるのであれば痛みも我慢するが、尿路結石の場合は七転八倒する痛みが待っているだけだ。

痛みは腰の辺りを刺すように起こったり、下腹部にキリキリとした痛みが走る。ときには排尿中に突然尿が止まり、激痛が襲ってくることもある。しかし、徐々に進行する腎臓(じんぞう)結石は、痛みが強くないのが普通だ。

腎臓でろ過再吸収されて老廃物だけとなった尿は、腎盂(じんう)に集まり、尿管を通ってぼうこうに集められる。尿はさらに尿道を通り排せつされる。尿路結石は結石ができる部位によって、それぞれ腎臓結石、尿管結石、ぼうこう結石、尿道結石と呼ばれる。

尿路結石は最近非常に増え、20人に1人が一生涯のうちに1度はかかるといわれている。男性は女性より2倍多く、40~50歳の働き盛りの人がなりやすい。

結石は成分によって分類することができる。多い順に、シュウ酸カルシウム結石、リン酸マグネシウムアンモニウム結石、尿酸結石、シスチン結石で、赤外線スペクトル測定法によって20分程度で簡単に分析できる。このほかにも混合型などさまざまなものがある。

結石ができるメカニズムや原因は、食生活が関係していると考えられているが詳しいことは分かっていない。しかし、痛風の人や尿酸値が高い人は尿酸結石になりやすいし、子供は代謝異常によるシスチン結石になりやすい。また、腎盂腎炎やぼうこう炎といった感染症がある場合には、リン酸マグネシウムアンモニウム結石になりやすいことが分かっている。

カルシウムを主成分とする結石や尿酸結石を防ぐには、動物性タンパク質をとり過ぎないことだ。動物性タンパク質は血液を酸性化し、体内のカルシウムを血液中に排せつさせ、尿中のカルシウム濃度を高めると同時に、血液中の尿酸値を高め、尿中の尿酸濃度が高くなるからだ。塩分もカルシウムを排せつさせる作用があるので控える。逆に、適度な運動は骨にカルシウムをつなぎとめておく効果がある。

結石は濃い尿によって、夜つくられるといわれている。従って、ふだんから水分を十分にとり、寝る前の飲食を避け、排尿してから寝ることを心掛けることが必要だ